2012年2月28日火曜日

木製品の保存処理

滋賀県文化財保護協会では遺跡を発掘して、昔の人がどのような生活をしていたのかを調べています。

遺跡からは昔の人が使っていた土器や木製品、金属製品といったものが出てきます。

その中でも木製品と金属製品は、長い間土の中に埋もれていた影響で非常にもろくなっています。

これらの遺物に対しては、博物館などで展示される前に保存処理という作業を行なっています。


埋蔵文化財センターにも保存処理を行う施設があります。
その1つがこの装置
この非常に大きな装置はポリエチレングリコール(PEG)含浸槽と呼ばれるものです。

ポリエチレングリコール(以下PEG)というのは、木製品の処理に使う薬品で、人工の樹脂です。
木材の中の水をPEGと置き換えることで、展示しても大丈夫なように強化します。

ちなみに処理前の木製品は、スポンジのように柔らかい状態です。
処理後は、口紅と同じくらいの硬さになります。
「なぜ口紅?」かというと、実は口紅にはPEGが含まれているからです。
意外と身近にPEGはあるんですよ!



さてこの含浸槽に遺跡から取り上げた木製品を入れていきます。
まず最初は大きい木製品や重い木製品を入れます。
これが大きな木製品を入れた状態です。
次に小さい木製品を入れていきます。



が、その前に下準備!
小さい木製品は軽い上に、非常にもろいことが多いです。
そのため、そのまま含浸槽に入れてしまうと、ほかの木製品に当たって壊れてしまうかもしれません。

そうならないように、容器にまとめて入れてやることで破損を防ぎます。

容器に入れたら含浸槽に入れていきます!
最初に入れた大きな木製品・重い木製品は丈夫なものが多いので、上に積んでも大丈夫です!

次に水を入れてやります。

ある程度水が入ったらPEGを投入します。

含浸槽は大きいのでPEGもたくさん使います。
ちなみにこの袋は1つ20kgもします。それを5つも使いました!!
とても重かったです…


さて、あとは溶けるのを待つだけ…。
この後含浸槽のヒーターの電源を点けました。
こうすることで水があたたかくなり、PEGがすぐに溶けるようになります。

木製品の処理はまだまだ始まったばかり!
半年以上かけてPEGの濃度をあげていきます。

進展がありましたら、またこのブログで報告していきたいと思います!!

乞うご期待!

2012年2月16日木曜日

遺物取り上げ2

さて前回に引き続き、遺物の取り上げについて紹介していきたいと思います。

まず前回名前だけ出てきた液体窒素を使って取り上げる方法。
液体窒素というのは、空気の大部分を占める気体である窒素の液体版です。
窒素の沸点は-196℃…つまり、液体窒素は-196℃という超低温!!

これを遺物と遺物周辺の土にかけることで、遺物内部の水分、周辺の土中の水分が一気に凍りつき、固まります。
この固まった状態の時に、脆い遺物を取り上げてしまおうというのがこの方法です。
この写真は遺物に液体窒素をかけている様子です。表面だけならばあっという間に固まりますが、深いところも凍らせるため、しばらくかけ続けます。
固まったら周りの土ごと取り上げてやります。



最後に紹介するのは医療用のギプスのようなキャスティングテープを用いた取り上げです。
キャスティングテープは、水につけてしばらくすると固まる性質を持っています。
写真のように、水に漬けたメンディングテープを周りの土にぐるぐる巻きつけていきます。
あっという間に固まるので、作業は早く行うようにする必要があります。
大きな遺物よりも小さな遺物を取り上げるのに良い方法です。



さて、遺物の取り上げ、どうでしたか?
現場ではこのように遺物が取り上げられています。
今度博物館でボロボロの金属遺物や木製遺物を見た時に、「あ、これはきっと取り上げしたんだなぁ?」と思って見て下さい。違った側面から遺物を見れて面白いと思いますよ!

2012年2月14日火曜日

遺物の取り上げとは

今回の内容ですが、タイトルの通り、遺物の取り上げについてお話したいと思います。

皆さんが普段博物館で何気なく見ている遺物(遺跡から出土したもの)の中には、非常に状態の悪いものがあります。
中にはあまりにも脆く、土から持ち上げることが難しいものもあります。

例)網カゴのような材が細くて薄いもの
   錆びてボロボロになった金属器


そんなとき、どのようにして取り上げればいいのか??

これは発掘における大きな課題の1つです。
実際まだ、「絶対この方法しかない!!」というのは存在していません。

先日、センター職員Aがその取り上げについての研修を受けてきたので、今回は取り上げ方法の1例について記事を書きたいと思います。



Aです。
先日の講習で私は3種類の取り上げ方法を学んできました。
今回、簡単にどんな方法があるのか紹介したいと思います!

まず1つは、発掘現場で最もよく使われているだろう方法、発砲ウレタン樹脂を用いた処理についてです。
発砲ウレタン樹脂は、イソシアネートと呼ばれる薬品と、ポリオールと呼ばれる薬品を混ぜることで、できる樹脂で、2液を混ぜることで急速に膨らみ、固まります。

この特徴を活かして、周りの土ごと樹脂で固めてしまって、遺跡から取り上げてしまうのがこの方法です。
写真を見てください。
写真真ん中に見えるのが白いものが遺物です。
なぜ白いかというと、遺物に直接薬品がつかないように紙で覆っているからです。
この写真はちょうど薬品を入れた時のものです。少し時間を進めてみましょう。
ケーキの生地のように膨らんでいるのが発泡ウレタンです。すごい勢いで膨らんで固まります。
固まったら下を切り離し運ぶことができます。

次に液体窒素を使う方法についてですが、それは次の記事で紹介したいと思います!
お楽しみに!!